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欲しがらない生き方 -高等遊民のすすめ-

[著]岬 龍一郎 [出版]角川グループパブリッシング

 お金持ちより時間持ちへ。物持ちよりも心持ちを目指す本。歴史的偉人ヘンリー・D・ソロー、橘曙覧、良寛の人生観を例に、どのようにすれば幸せに生きれるのか、著者自身の苦しい経験を交えて真の幸せを探る内容です。

 生活のレベルが少し下がっても、心の豊かさがもう一段だけ向上すれば失うものは何もない。

 余分な富を持つと、余分なものしか購入しない。

 魂が必要としているものを購入するのに、金銭など必要ないのである。

       ヘンリー・D・ソロー『森の生活』より

 上のように本書の中で、ヘンリー・D・ソローの言葉や生き方が何度も紹介されています。


| ヘンリー・D・ソローについて


 ヘンリー・D・ソローとは非暴力による抵抗で、後のキング牧師やガンディーに絶大な影響を与えたアメリカ人です。日本では名前があまり知られていませんが、世界的に有名な人です。

 ソローは1週間で学校の教師をやめました。(その当時、学校の先生は体罰を使って生徒を指導しており、非暴力主義のソローには耐えられなかったためです。)

 ソローは町外れの家に住み、自給自足で暮らし、人頭税(軍隊に払う税金)を拒否したため、牢獄に入りました。


| 著者の提案

 著者はソローなど偉人の考えをもとに、幸せに生きるための20箇条を提案しています。(詳しくは高等遊民の備忘録)その中で面白かったものを3つ紹介します。

 ・形式よりも中身を大事にする
 ・お金持ちよりも時間持ち、物持ちよりも心持ちをめざす
 ・正義を愛しウソはしゃれでしかつかない

 著者の提案のいくつかは実践することが難しい。しかし、実践すればソローのようになれるかも。

 

| 目次

まえがき
漱石は高等遊民の生みの親/現代の高等遊民/高等遊民になるための二十ヶ条

第一章 高等遊民は「お金持ち」より「時間持ち」をめざす
死は、前よりしも来らず、かねて後に迫れり/平均寿命は延びたけど/明日ありと思う心のあだ桜/”人生八十年”の生き方に変える/『徒然草』が教える人生の真髄/真の生きかたは死を自覚して生きる/セネカの『人生の短さについて』/五十歳、六十歳では「時、すでに遅し!」/多忙は心を滅ぼすもと/奴隷が最も悲惨なのは、奴隷たる生活に甘んじたとき/大病は、”神の計らい”/「忙しい」というのは自慢にはならない/”仕事人間”だけの人生では終わりたくない/「まずは人間を創れ、魂を磨け、さすれば幸福は向こうからやってくる」/時間持ちになるために「隠れ家」を持つ/幸せの度合いを人とくらべないこと/仏が説く「唯我独尊」とは/「知足」とは欲望の限度を知ること/心の多忙が生む人間不信/五十路を越えたら世俗欲求を半分捨てる/白居易が教えてくれた「高等遊民」の生き方/楽天的に生きること

第二章 高等遊民の先達に学ぶ
私の憧れる高等遊民の先達/ソローの妥協を許さない生き方/人生を規定するのは生まれ持った性格か/金を稼ぐことはその制度に身を売ること/不正義の政府のもとでは獄中こそが正義/なぜ『森の生活』だったのか/貧しくとも優雅な生活/”高等遊民”は町中から遠くないところに住む/橘曙覧とは何者か/詩的に生きることは詩をつくるよりむずかしい/死後に子規が絶賛/クリントン大統領が称えた曙覧の歌/貧窮にあっても心は黄金のように/啄木の哀しさ、曙覧の愉しさ/なにげない日常の愉しみ/「嘘いうな、物ほしがるな、体だわるな」/恥ずかしいのは自分の心に嘘をつくこと/至誠を尽くすことは最高の美徳/誇りをもって生きるには自信と意志力が必要/高等遊民は半分捨てる/必要なのは住む家と食う物と着る物

第三章 高等遊民の考え方と生き方
ホイジンガの”三つの道”/第三の道を探し求めた漱石の『草枕』/なぜ貧乏坊主の良寛は愛されるのか/天真の人・良寛/動作閑雅あまりあるがごとし/良寛はお地蔵さんの化身か/大愚は大賢に通ず/人間としての”最高の芸術品”/儒教的行き方と老荘的生き方/楷書の孔子と草書の老子/老子の説く三宝の教えとは/水のような無為自然の生き方/高等遊民は儒教と老荘の中庸にあり/燕雀いずくんぞ鴻鵠の志を知らんや/『イソップ寓話集』から教えられたもの/「分相応」の生き方/曙覧が仕官を断った理由/「得か、損か」より「好きか、嫌いか」/好きか嫌いで人生は歩めるのか/好いた事をして暮らすべし

第四章 高等遊民の老後の楽しみ方
自分の時間を取り戻せる場所を経て/「隠れ家」は心をリフレッシュする癒しの場/趣味は人生の幅を広くする/定年後に趣味を生かした友人たち/映画鑑賞は最高の暇つぶし/時代劇・懐かしの洋画ベストテン/仲間たちとの「勉強会」を聞く/知的好奇心は楽しみの培養土/雑学が作る豊かな時間/感動する心は一生の宝/人生はこれからだ/四十五歳が第二の人生の分岐点/なぜ老後を恐れるのか/邯鄲の夢「青年よ、人生とはこんなものさ」/精神の快楽は無限大/私の半隠遁生活/読書と散歩と思索の日々/「隠れ家」での優雅な生活/新たな趣味、有名人の墓巡り/本当に豊かな欲しがらない人生


 

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