本文へスキップ

気に入った本を書評する読書サイト

トップページ » 書評 » 死ぬ瞬間?死とその過程について

死ぬ瞬間?死とその過程について

[著]エリザベス キューブラー・ロス 

  エリザベス自身が病院で末期患者200人を面談し、患者の精神状態を観察した名著。末期医療に関心を寄せる人びとの聖書とされている。
 

| 死の受容への五段階


 有名な「死の受容への五段階」提唱しています。もし、末期ガンで寿命は後3ヶ月と言われたら、次の過程をたどります。

第1段階 否認

 自分が癌である現実を否認する。 「自分が癌になるはずがない」 「別の患者のレントゲン写真と取り違えたのではないか」 「この医者は誤診している」

 これは人間の当然の反応です。否定することで自分を守ることが出来ます。

第2段階 怒り

 「なぜ、私がこんな目に!」という怒りがこみ上げてくる。自分が望む生き方と違うことに不満を抱きます。医師・家族・友人・そして神へ。自分以外の全てのものに恨みと憎しみ、妬みを覚えます。

第3段階 取引

 「もし病気が治れば、財産の半分を寄附します」や「今度から人々にもっと優しくします」のような、神に対して「契約」を結び始めます。

第4段階 抑うつ

 神と「契約」したにもかかわらず、病気は治らない。徐々に体力もなくなり、「死」を実感する。気力がなくなり、うつ状態になります。

第5段階 受容

 「死」を受け入れ、穏やかになり、いかに自分が幸福な人生であったかを知ります。

 この受容の段階とは、幸福の状態ではありません。受容の段階とは、もはや自分の運命について「抑うつ」「怒り」「嘆き」「悲しみ」はなくなり、人生の最終日待っている状態です。患者は穏やかな感情になります。

 

| いつかは治ることを信じている


  末期患者の多くに見られることは「奇跡」を待っていることです。「いつかは治る」「いずれ自由になれる」といった希望。逆に「希望」がなければ自殺するのではないか、と私は思います。

 

| 余談


 E. ロウ著書 「誰もが知りたい 上手な死に方、死なせ方」 によると、著者エリザベス キューブラー・ロス自身も大病を患い、末期患者として、亡くなるまで闘病生活をしていました。

 エリザベス自身は「見舞いに来た人に包丁を振り回す」や「神はヒトラー」といった「怒り」をあらわにしています。しかし最期はエリザベスも穏やかになり、「受容」することができたそうです。

 

| 目次

1 死の恐怖について
2 死とその過程に対するさまざまな姿勢
3 第一段階/否認と孤立
4 第二段階/怒り
5 第三段階/取り引き
6 第四段階/抑鬱
7 第五段階/受容
8 希望
9 患者の家族
10 末期患者へのインタビュー
11 死とその過程に関するセミナーへの反応
12 末期患者の精神療法

スポンサードリンク


| 関連記事

書評 誰もが知りたい 上手な死に方、死なせ方

書評 人生は廻る輪のように