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銃・病原菌・鉄?1万3000年にわたる人類史の謎

[著]ジャレド・ダイアモンド [出版]草思社

 「ゼロ年代の50冊」(朝日新聞の識者が選ぶ2000?2009年に出版された本で一番よかった本)で1位に選ばれた本。

 書評サイトわたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいるによると東大、京大、北大、広大の教師が新入生にオススメする本1位だそうです。

 しかも、ピュリッツァー賞受賞作

 この著書は文章量が非常に多いことが特徴です。発展した国(アメリカやヨーロッパ)とそうでない国(アフリカやアジア)の違いは何か。著者が調べると、銃と鉄と病原菌が作用している事がわかりました。

 

| 病原菌

 文明の発達において「銃」「鉄」が大事な役割を果たしたことはわかります。でも、なぜ「病原菌」が関係しているのか?

 著者によると、ある島がウイルスAが流行によって多数の人が死んでも、生きている人はウイルスAの抗体を持つため、その子孫はウイスルAに耐えることが出来るようです。

銃・鉄・病原菌の理論

 インカ帝国ではスペインと互角で戦うことができたが、スペイン人が持つウイルスによって大打撃を与えられたとか。(その後インカ帝国はスペインの植民地に。)
 

| 本書の特徴

 専門用語をなるべく使わず、歴史学や人類学をあまり知らない人でも読みやすいようになっています。

 

| 目次

<上巻目次>
日本語版への序文??東アジア・太平洋域からに見た人類史
プロローグ ニューギニア人ヤリの問いかけるもの
ヤリの素朴な疑問
現代世界の不均衡を生みだしたもの
この考察への反対意見
人種による優劣という幻想
人類史研究における重大な欠落
さまざまな学問成果を援用する
本書の概略について

第1部 勝者と敗者をめぐる謎
第1章 一万三〇〇〇年前のスタートライン
人類の大躍進
大型動物の絶滅 南北アメリカ大陸での展開
移住・順応・人口増加

第2章 平和の民と戦う民との分かれ道
マオリ族とモリオリ族
ポリネシアでの自然の実験
ポリネシアの島々の環境
ポリネシアの島々の暮らし
人口密度の違いがもたらしたもの
環境のちがいと社会の分化

第3章 スペイン人とインカ帝国の激突
ピサロと皇帝アタワルパ
カハマルカの惨劇
ピサロはなぜ勝利できたか
銃・病原菌・鉄

第2部 食料生産にまつわる謎
第4章 食料生産と征服戦争
食料生産と植民
馬の家畜化と征服戦争
病原菌と征服戦争

第5章 持てるものと持たざるものの歴史
食料生産の地域差
食料生産の年代を推定する
野生種と飼育栽培種
一歩の差が大きな差へ

第6章 農耕を始めた人と始めなかった人
農耕民の登場
食料生産の発祥
時間と労力の配分
濃厚を始めた人と始めなかった人
食料生産への移行をうながしたもの

第7章 毒のないアーモンドの作り方
なぜ「栽培」を思いついたか
排泄場は栽培実験場
毒のあるアーモンドの栽培化
突然変異種の選択
栽培化された植物とされなかった植物
食料生産システム
オークが栽培されなかった理由
自然淘汰と人為的な淘汰

第8章 リンゴのせいか、インディアンのせいか
人間の問題なのか、植物の問題なのか
栽培化の地域差
肥沃三日月地帯での食料生産
八種の「起源作物」
動植物に関する知識
ニューギニアの食料生産
アメリカ東部の食料生産
食料生産と狩猟採集の関係
食料生産の開始を遅らせたもの

第9章 なぜシマウマは家畜にならなかったのか
アンナ・カレーニナの原則
大型哺乳類と小型哺乳類
「由緒ある家畜」
家畜化可能な哺乳類の地域差
他の地域からの家畜の受け入れ
家畜の初期段階としてのペット
すみやかな家畜化
繰り返し家畜化された動物
家畜化に失敗した動物
家畜化されなかった六つの理由
地理的分布、進化、生態系

第10章 大地の広がる方向と住民の運命
大地の広がる方向と住民の運命
食料生産の伝播の速度
西南アジアからの食料生産の広がり
東西方向への伝播はなぜ速かったか
南北方向への伝播はなぜ遅かったか
アメリカ大陸における農作物の伝播
技術・発明の伝播

第3部 銃・病原菌・鉄の謎
第11章 家畜がくれた死の贈り物
動物由来の感染症
進化の産物としての病原菌
症状は病原菌の戦略
流行病とその周期
集団病と人口密度
農業・都市の勃興と集団病
家畜と人間の共通感染症
病原菌の巧みな適応
旧大陸からやってきた病原菌
新大陸特有の集団感染症がなかった理由
ヨーロッパ人のとんでもない贈り物

<下巻目次>
第12章 文字をつくった人と借りた人
文字の誕生と発展
三つの戦略
シューメル文字とマヤ文字
文字の伝播
既存文字の借用
インディアンが作った文字
古代の文字表記
文字を使える人びと
地形と自然環境の障壁

第13章 発明は必要の母である
ファイストスの円盤
発明が用途を生む
誇張された「天才発明家」
先史時代の発明
受容されなかった発明
社会によって異なる技術の受容
同じ大陸で見られる技術の受容のちがい
技術の伝播
地理上の位置の役割
技術は自己触媒的に発達する
技術における二つの大躍進

第14章 平等な社会から集権的な社会へ
ファユ族と宗教
小規模血縁集団
部族社会
首長社会
富の分配
首長社会から国家へ
宗教と愛国心
国家の形成
食料生産と国家
集権化
外圧と征服

第4部 世界に横たわる謎
第15章 オーストラリアとニューギニアのミステリー

オーストラリア大陸の特異性
ーストラリア大陸はなぜ発展しなかったのか
近くて遠いオーストラリアとニューギニア
ニューギニア高地での食料生産
金属器、文字、国家を持たなかったニューギニア
オーストラリア・アボリジニの生活様式
地理的孤立にともなう後退
トレス海峡をはさんだ文化の伝達
ヨーロッパ人はなぜニューギニアに定住できなかったか
白人はなぜオーストラリアに入植できたか
白人入植者が持ち込んだ最終産物

第16章 中国はいかにして中国になったのか
中国の「中国化」
南方の拡散 175 東アジア文明と中国の役割

第17章 太平洋に広がっていった人びと
オーストロネシア人の拡散
オーストロネシア語と台湾
画期的なカヌーの発明
オーストロネシア語の祖語
ニューギニアでの拡散
ラピタ式土器
太平洋の島々への進出
ヨーロッパ人の定住をさまたげたもの

第18章 旧世界と新世界の遭遇
アメリカ先住民はなぜ旧世界を征服できなかったのか
アメリカ先住民の食料生産
免疫・技術のちがい
政治機構のちがい
主要な発明・技術の登場
地理的分断の影響
旧世界と新世界の遭遇
アメリカ大陸への入植の結末

第19章 アフリカはいかにして黒人の世界になったか
アフリカ民族の多様性
アフリカ大陸の五つのグループ
アフリカの言語が教えてくれること
アフリカにおける食料生産
アフリカの農耕・牧畜の起源
オーストロネシア人のマダガスカル島への拡散
バンツー族の拡散
アフリカとヨーロッパの衝突

エピローグ
科学としての人類史
環境上の四つの要因
考察すべき今後の課題
なぜ中国ではなくヨーロッパだったのか
文化の特異性が果たす役割
歴史に影響を与える「個人」とは
科学としての人類史
訳者あとがき
索引


 

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